文書作成日:2026/09/15
2026年10月1日に、社会保険における短時間労働者の加入要件の一つである「月額賃金8.8万円以上」という賃金要件が廃止され、いわゆる「年収106万円の壁」がなくなります。今回は、この賃金要件の撤廃と、社会保険に加入すべき従業員の範囲について整理します。
[1]被保険者となる人
会社で社会保険に加入するのは、役員・正社員のほか、一定の要件を満たしたパートタイマー・アルバイト(以下、「パートタイマー等」という)です。
パートタイマー等のうち、1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上である人は、一般被保険者として社会保険に加入します。さらに、特定適用事業所で働くパートタイマー等で、週の所定労働時間が20時間以上であること等の要件を満たした場合にも社会保険に加入します。
[2]106万円の壁の撤廃
これまで短時間労働者として社会保険に加入する要件の一つに、「所定内賃金が月額8.8万円以上であること」という要件が設けられていました。この月額8.8万円を12倍した年収が約106万円となることから、「年収106万円の壁」と呼ばれパートタイマー等に意識されてきました。
これに対し、近年の最低賃金の引上げにより、全都道府県で最低賃金が1,016円を超え、週の所定労働時間が20時間以上となれば月額賃金が8.8万円以上となる状況となっています。実質的にこの賃金要件に該当するパートタイマー等はいなくなっていることから、2026年10月1日に正式に撤廃されることになりました。
この撤廃により、短時間労働者の加入要件は、1.週の所定労働時間が20時間以上であること、2.学生ではないことの2つとなります。なお、2ヶ月を超えて雇用される見込みであることというのは、一般被保険者・短時間労働者の両方の加入要件となっています。
[3]週20時間以上の考え方
短時間労働者の加入要件のうち、特に実務上問題となりやすいのが「週の所定労働時間が20時間」の判断基準です。この時間数は、あくまでも契約上の所定労働時間によります。ただし、実際の労働時間が連続する2ヶ月において週20時間以上となった場合で、引き続き同様の状態が続いている、または続くことが見込まれる場合は、実際の労働時間が週20時間以上となった月の3ヶ月目の初日に社会保険に加入します。
2027年10月から順次、社会保険の適用拡大が行われ、従業員数(厚生年金保険の被保険者数)50人以下の企業も「特定適用事業所」になります。労使ともに影響が大きな事項ですので、短時間労働者の加入要件はしっかりと押さえておきましょう。
■参考リンク
厚生労働省「「年収の壁」への対応」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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